武田信玄が語る「強敵」「大敵」「若敵」「小敵」「弱敵」の意味
武田信玄
甲斐国の戦国大名、武田信玄は、『孫子』の兵法をよく学んだ知将でもあり、「敵」の種類によって向き合い方を変えるべきだと主張していたようです。
武田信玄は、敵については、強敵、大敵、若敵、小敵、弱敵の5種類があると言います。それぞれの「敵」の意味は、以下の通りです。
- 強敵 勇猛で判断力も優れた主君のもと、立派な家老がおり、忠誠心を抱く大将がいる敵
- 大敵 大きい領地を持ち、多くの兵を持っている敵。
- 若敵 まだ戦いに勝利したことがない、力量の若い敵。
- 小敵 領地も、兵も、少ない敵。
- 弱敵 武術や勇ましさも乏しく、他国への攻めを考えない敵。
戦のときは、敵が、どのレベルに当てはまるか、ということを見極めることが大事だと武田信玄は説きます。
特に信玄が注意すべきとするのが、若敵と小敵でした。
まだ戦いに勝利したことがないような、力量の若い敵を意味する「若敵」は、意外に目を見張るような戦いをし、また、領地も兵も少ない敵を指す「小敵」も、思わぬ仕掛けをしてくる可能性があるから、油断してはいけないと言います。
決して経験が豊富ではない若手や、規模の小さな相手が、意外と変わった手を使ってくる可能性があるから、油断せずに、注意が必要ということは、現代にも通じる感覚かもしれません。
また、武田信玄は、『人国記』という今で言う県民性のようなものが綴られた書物も愛読し、相手国の特徴を伝えるために、その中身をときおり家臣に読んで聞かせるなど、相手の情報を収集することも重視したそうです。
武田信玄は、『孫子』の兵法を学んでいましたが、まさに『孫子』の兵法の理想である「戦わずして勝つ」ことの実践として、情報収集や分析を重んじたのでしょう。
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