上杉謙信の家訓十六ヶ条
戦国武将の上杉謙信の十六ヶ条の家訓を記した石碑が、山形県米沢市の上杉神社と、新潟県上越市の林泉寺にある。
信仰に篤い母虎御前(青岩院)や、幼少期の師である林泉寺の天室光育の影響から、仏教的な思想の強かった上杉謙信。
全部で十六ヶ条ある家訓も、その精神が深く浸透している。
以下、上杉謙信の家訓の現代語訳を交えた意味となる。
一、心に物なき時は心広く体泰なり – 心に物欲がないときは、心はゆったりとし、体は落ち着いている
一、心に我儘なき時は愛敬失わず – 心にわがままがないときは、相手への愛や敬いの心は失わない
一、心に欲なき時は義理を行う – 心に無欲なときは、道理のある正しい道を進む
一、心に私なき時は疑うことなし – 心に私心がないときは、疑うことはない
一、心に驕りなき時は人を教う – 心に驕りがないときは、人を諭し教えることができる
一、心に誤りなき時は人を畏れず – 心に誤りがないときは、人を畏れない
一、心に邪見なき時は人を育つる – 心に邪な見方のないときは、人を育てる
一、心に貪りなき時は人に諂うことなし – 心に貪る気持ちがないときは、諂うことがない
一、心に怒りなき時は言葉和らかなり – 心に怒りのないときは、言葉が穏やかである
一、心に堪忍ある時は事を調う – 心に堪忍があるときは、物事を調えられる
一、心に曇りなき時は心静かなり – 心に曇りがないときは、心は静かである
一、心に勇みある時は悔やむことなし – 心に勇ましさがあるときは、悔やむことはない
一、心賤しからざる時は願い好まず – 心が賤しくないときは、無理な願いはしない
一、心に孝行ある時は忠節厚し – 心に孝行心があるときは、忠節心も厚い
一、心に自慢なき時は人の善を知り – 心に自慢のないときは、人の良さを知る
一、心に迷いなき時は人を咎めず – 心に迷いがないときは、人を咎めない
以上のように、十六ヶ条の全てに「心」がつき、座禅を主とした修行を積んだ上杉謙信らしい家訓となっている。