戦国時代

豊臣秀吉の和歌

豊臣秀吉の和歌

臆病者のきくちいそぐ雪の上きえも果てなむも人のありさま

両川りょうせんの一つに成つて落ちぬれば毛利高松も藻屑にぞなる

おもふこと淵あり瀬あり武士もののふの同じ川べに身は沈めども

打出でて玉津島よりながむれば緑たちそふ布引の松

忍びつつ霞と共にながめしもあらはれにけり花の木のもと

咲きしより眺めにあかぬ厳島いつくしまみせばやと思ふ雲の上人

浪の花ちりにしあとの事とへば昔ながらもぬるる袖かな

千とせをもたたみ入れたる筥崎はこざきの松に花さくをりにあはばや

唐土もろこしもかくやは涼し西の海の浪路ふきくる風に問はばや

なべて世に仰ぐ神風ふきそひてひびき涼しき筥崎の松

梅の花幾千世かけて咲きぬれどなほこの春は一しほの色

ときならぬ桜が枝にふる雪は花をおそしと誘ひきぬらむ

万代よろづよの君がみゆきになれなれむ緑木高き軒の玉松

かけて今日みゆきを松の藤浪のゆかりうれしき花の色かな

都にて聞きしはことの数ならで雲ゐに高き不二の根の雪

名残をば萩が枝にや残すらむ花のさかりを捨つる都路

清見潟きよみがたゆくてに見つる花の色の幾程もなく紅葉しにけり

亡き人の形見の涙残しおきてゆくへも知らず消えはつるかな

月に散るみぎりの庭の初雪を眺めしままにふくる夜半かな

吉野山こずゑの花のいろいろにおどろかれぬる雪の曙

吉野山たれとむるとはなけれども今夜も花の蔭に宿らむ

春風はふくとも花はかつ咲きてしづ心にし眺めけるかな

年月を心にかけし吉野山花のさかりを今日みつるかな

帰らじと思ふ山路を入相の鐘こそ花のうらみなりけれ

なき人の形見の髪を手にふれてつつむに余る涙かなしも

あはれこの柴の庵のさびしきに人こそとはね山おろしの風

相生の松に花さく時なればみ雪の桜千世や経ぬらむ

千歳をぞ契りし松のわか緑ながめしままの千返とかへりの花

露と落ち露と消えにしわが身かな浪速なにはのことも夢のまた夢(辞世の句)

豊臣秀吉とは

絵、豊臣秀吉の肖像画

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